2014年5月19日 のアーカイブ

歯科技工士議員連盟有志で都内の歯科技工所を視察しました

2014年5月19日 月曜日

5月19日は、「「歯科技工士に関する制度推進議員連盟」の有志で、都内の3か所の歯科技工所を視察しました。

参加したのは、上川陽子会長、松本洋平先生、石川昭政先生、小林鷹之先生、私の5名です。

午前10時に衆議院第二議員会館からマイクロバスで出発し、日本歯科技工士連盟の時見高志理事長より、歯科技工士をめぐる概要についてご説明を頂きました。

年齢階層別にみると、若い人たちが一貫して減り、平成24年では45歳以上の方が55.4%を占めるまでになっているそうです。

また、従業者数別の歯科技工所数では、1人の技工所が77%、2人が12%と、大半が2人以下であることも知りました。

また、歯科技工士学校の入学者数は平成12年から定員割れが始まり、現在では平成25年では73.1%となっています。

歯科技工を続ける上での課題としては、第一に低価格、第二に長時間労働をあげられています。

今後の課題として、歯科技工士の教育課程を現在の2年から3年に延ばし、その間に、歯科医や歯科技工所の現場の体験等もできる体制をとるべきであるとのご意見を頂きました。


視察では、はじめに「ケン・デンタリックス株式会社」に伺いました。松浦賢治代表取締役によれば、約50名の方が働く大規模な技巧所で、インプラントを年間25000本製作する等、自費の仕事が約9割を占めるそうです。

最新のCAD/CAMなども導入し、全国の約500の歯科医から依頼を受けて仕事をされています。全国でも数少ない大規模な技巧所であり、つねに最新の技術を導入して成長を続けている会社ですが、やはり就業時間が長い状況がなかなか解消できないとのことでした。


2番目に伺った「ヒシヤマ ラボ&オフィス」は、菱山実代表を中心に、3名のスタッフの方々が働いておられました。

菱山代表からは、歯科医が指示書を出すことが法定されていないこともあり、指示書に必要事項が書かれていない依頼も多いこと、それが原因でつくり直しが発生しても、そのコストは歯科技工所側の負担となっていること、できれば患者さんへの装着に技工士の先生も立ち会って、補正することが望ましいこと、歯科医の養成課程で歯科技工の実務を行わなくなっていることは問題であることなどの指摘を頂きました。


最後に伺った「つづ デンタルサポート」は、都筑康行代表とスタッフの方と、2名で仕事をされています。

都筑代表からは、仕事は増える傾向にあるが、人が集まらず、月に1回休めるかどうかの状況が続いていること、技工料が低く、やめていく人も多いため、このままでは、10年後に日本から歯科技工士がいなくなる懸念があること、諸先輩から教わった技術を次の世代に伝えたいが、なかなかそれができないこと等のお話を伺いました。


3か所の技工所でお話を伺う中で、丁寧な仕事をすればするほど長時間労働となり、経営も厳しくなる構造になっていること、そもそも技術に見合った収入が得られない状況にあることが大きな課題であることを感じました。

高齢化社会の進展に伴い、高齢者の皆様の生活の質を向上させるためには、適正な入れ歯や義歯で食事をしたり、話したりすることが重要であり、歯科医の先生方と歯科技工士の先生方に活躍頂くことが必要です。

今後、議員連盟での議論を通じて、あるべき制度改正などについて、しっかり議論をしてまいります。


(「ケン・デンタリックス株式会社」の松浦賢治代表取締役から、様々な先進的な取り組みについてのお話を伺いました。)


(歯型と指示書は、この専用の箱で全国から送られてきます。インプラントなどの完成後は、専用の小箱に納めた上で、この箱にいれて返送するそうです。)


(顕微鏡のような拡大装置でのぞきながらインプラントの加工をされている様子を見学しました。)


(これらは、コンピュータ制御の切削機です。コンピューターとセットで最低単位でも1200万円程度の投資が必要とのことでした。)


(「ヒシヤマ ラボ&オフィス」の菱山実代表は、すべての入れ歯や義歯の最終チェックをされているそうです。限られた情報の中で、いかに患者さんに気持ち良く装着してもらえるかを考えながら丁寧な仕事をされています。)


(「ヒシヤマ ラボ&オフィス」の皆様全員とともに記念撮影をしました。)


(「つづ デンタルサポート」の都筑康行代表からは、厳しい環境を乗り越えて仕事をされているプロとしての熱意を強く感じました。)


(中央左が都筑代表です。お話を伺い、レベルの高い仕事がきちんと評価される仕組みを構築することが必要だと強く感じました。)