2013年9月 のアーカイブ

衆議院経済産業委員会2日目、長島風力発電と川内原子力発電所を視察

2013年9月26日 木曜日

9月27日は、衆議院経済産業委員会の委員派遣の2日目。朝7時45分に熊本駅近くのホテルを出発し、徒歩で駅まで移動、午前8時過ぎの九州新幹線で出水駅に向かいしました。

午前8時45分ごろバスで出水駅を出発、午前9時半過ぎに鹿児島県出水郡長島町の長島風力発電所に到着しました。

この発電所には、出力2400kWの風力発電機が21基あり、合計出力50400kWは、国内5番目の規模だそうです。

平成14年度に風況調査を開始、平成17年に工事着手し、平成20年10月から運転を開始しています。風車の設置場所決定の際には、毎年10月中旬から翌3月頃にかけて約1万羽の鶴が越冬することに配慮し、飛行ルートにかかると予想される4基を南に移したそうです。これまでに鶴が衝突した例はないとのこと。

風車は、70メートルのタワーに直径92メートルの羽が設置されており、羽が最も高いところを通過する際には、高さが116メートルになります。

発電を行うには毎秒3.5メートル以上の風速が必要であり、それ以上では発電量が徐々に増加し、12.5~25メートルで2400kWの定格出力になるそうです。一方、25メートル以上の強風時には、羽の角度を調整し、発電を停止するとのこと。

本日は約12メートルの風が吹いており、ほぼ定格出力が出ているとのことでした。タワーの足元に行ってみると、羽の先が音をたててかなりのスピードで移動しているのを実感することができました。

発電の実績は、年間平均で9350万kWhで、一般家庭約3万世帯分の電気を発電しているそうです。故障・点検を差し引いた稼働率は95パーセントですが、風の吹く量は変動があるため、年間発電可能な最大出力に対して実際の発電量は約21%とのことです。

九州電力・九電工では、平成31年度の運転開始をめざして、宮崎県串間市で約60000kWの出力の風力発電を計画されています。

今後の課題としては、出力変動の大きい風力発電や太陽光発電の電力を系統につなぐため、蓄電池などによる安定化対策が重要とのことでした。


10時15分ごろにバスで長島町を出発し、薩摩川内市に向かいました。途中、「道の駅 黒之瀬戸だんだん市場」で休憩し、地元産の果物や伊勢エビ、貝などを見ました。素晴らしい天気に恵まれ、空と海の素晴らしい風景も満喫することができました。


午前11時半には川内原子力発電所の原子力訓練センターに到着、まず昼食を頂きながら、地震や津波の規模とリスクをどのように算定し、それに対してどのような安全対策を講じているか、説明をお聞きしました。

川内原子力発電所は、89万kWの出力の原子力発電機が2機あり、平成14年から運転を開始したそうです。

説明を聞いた後、バスで構内を回りながら、移動式大容量ポンプ車、直流電源用発電機、免震重要棟建設予定地などを見せて頂きました。

途中、バスをおりてタービン建屋や中央制御室、外部電源との接続などを制御する安全補機開閉器室などを見学しました。

その後、原子力訓練センターに戻り、中央制御室と全く同じつくりの部屋で行う訓練を見学しました。地震発生により、全交流電源が喪失した場合の対応について、担当者の皆さんがどのように行動するのかを見ることができ、勉強になると同時に、大変頼もしく感じました。

最後に、約15分にわたり質疑応答があり、私からはミサイル攻撃があった場合や故意の飛行機の突入時の対応などについて質問をしました。様々なリスクに対し、多重に対応できるような準備がなされていることを感じました。


午後2時過ぎに川内原子力発電所を出発し、午後4時に鹿児島空港に到着、午後4時50分の飛行機で羽田に向かい、午後6時過ぎに到着しました。

2日間にわたり、九州電力の発電事業の取り組みや、海外展開に向けて頑張る企業の皆様の取り組みを知ることができ、大変充実した視察でした。


(新幹線の中から見た熊本市周辺の風景です。広々とした農地が印象的でした。)


(長島風力発電所に到着後、視察メンバーで記念撮影を行いしました。)


(風車の足元では、羽が近くを通るたびに空気を切る音がはっきり聞こえます。)


(高台から見た、風車が立ち並ぶ光景は壮観です。)


(「道の駅 黒之瀬戸だんだん市場」の様子です。農産物や海産物が豊富に売られていました。)


(道の駅近くの風景です。海と空の青さ、波の白さがとてもきれいでした。)


(川内原子力発電所に到着後、九州電力幹部の皆様から概要の説明をお聞きしました。)


(バスから、様々な緊急用の設備を見学しました。これは、緊急時に給水する移動式大容量ポンプです。)


(可搬型の直流電源用発電機も多く配置されていました。)


(波のような模様が描かれているのが原子炉本体、右側の四角い建物は、使用済み燃料などを格納する建屋です。)


(原子力訓練センターで、実際の訓練の様子を拝見することができました。)


(最後に、質疑応答を行いました。様々なリスクに対し、考えられる対応をきちんとされているということを感じました。)

衆議院経済産業委員会で大分県八丁原地熱発電所、熊本市内のオオクマ電子、重光産業を視察

2013年9月25日 水曜日

9月25日は、経済産業委員会でエネルギー関連施設や海外展開を進めている中小企業の実態を調査するため、2日間の視察に出発しました。

朝8時に羽田空港を出発し、9時半に大分空港に到着、バスに乗り換えて、九州電力の八丁原地熱発電所に向かいました。

11時半ごろ発電所に到着後、2班に分かれて発電所内を視察、その後質疑応答を行いました。

地熱発電が、環境に調和した自然エネルギーの中でも、安定した出力が得られる利点をもつこと、一方で、地熱により地下水が高圧になっている地熱貯留槽を探査し、掘り当てることの大変さや、発電後の水を戻す際の還元井戸のメンテナンスの苦労などについても知ることが出来ました。

また、100度以下の低い熱源でも発電できる「バイナリー発電」のプラントをみて、さらにコストを下げる必要はあるものの、全国の温泉地にも適用できる技術であることを感じました。


午後2時過ぎに発電所を出発し、約2時間かけて熊本市内に向かいました。途中、「大観峰」で阿蘇の雄大な景色を見ることが出来ました。また、売店では、様々な「クマモン」グッズが販売されており、改めて人気の大きさを感じました。


熊本市内では、まず午後4時過ぎに、「オオクマ電子株式会社」を訪問しました。当社では、医療関係者からの訴えをもとに調査・研究・開発を行い、7年をかけて、手術で使用した医薬品のビンのラベルを自動的に読み取り、保険請求に必要な書類を正確に作成できる装置を開発、導入した病院では、看護師の残業時間が6割減となるなど、大きな成果を上げているとのことでした。

今後、デンマークやアメリカでの導入が計画されているそうです。「医学と工学の連携」の良い事例であると感じました。


午後5時まえには、「重光産業株式会社」を訪問しました。当社は「味千ラーメン」で有名ですが、1994年に台湾に進出、1995年には北京に合弁会社で進出したものの、それぞれ数年で撤退、1996年に出店した香港で好評を得て以来、本格的に海外展開を行い、現在では国内101店舗、海外13の国と地域で703店舗を展開されています。

「成功のカギは、それぞれの国で、信頼できるパートナーを見つけること。」とのお話をお聞きしました。2年後には1000店舗を達成する見通しとのことです。熊本で生まれたラーメンの味が世界に広がっているのはうれしいことですね。

2つの企業を訪問し、若い経営者の皆さんの勢いを感じました。こうした皆さんの意欲をしっかりサポートしていくことが大切だと感じます。


(八丁原地熱発電所に到着後、九州電力幹部の皆様より概要の説明をお聞きしました。)


(発電に使用した熱水を地中に戻す還元井の配管の断面です。このように管の中に温水に含まれるケイ素などが付着するため、配管内の高圧水による洗浄や掘削機を使ったメンテナンスが欠かせないとのことでした。)


(山の井戸から引いた熱水と蒸気を分離する装置のまえで、記念撮影をしました。)


(蒸気井がある山の上から見た地熱発電所の様子です。白い蒸気は、タービンを回した後の蒸気を空冷で冷却して温水にする装置から出ているものです。)


(熊本市に向かう途中、大観峰の近くで、雄大な景色を見ることが出来ました。)


(大観峰の売店では、クマモングッズが山のように販売されていました。この写真は、そのほんの一部です。)


(オオクマ電子では、大隈恵治社長から、開発の経緯や海外展開の状況などについてお話を伺いました。)


(これが、「使用済注射薬 自動認識システム SPASER」です。)


(重光産業では、重光克昭社長から、海外出店の際に苦労されたことなど、具体的なお話を伺うことができました。)


(日本全国のお店で使う麺を作っている工場を見学しました。世界では、それぞれ現地で生産しているものの、日本から定期的に出張して、味の管理などをしているそうです。)

経済産業部会・自動車小委員会開催、税制調査会正副会長顧問幹事会と小委員会に出席、農山漁村計画法制に関する特命委員会打合せ

2013年9月24日 火曜日

9月24には、午前中に税制改正などについて経済産業省と打合せを行いました。正午からは、「経済産業部会」が開催され、部会長として司会進行を行いました。

本日の議題は、産業競争力強化法の概要説明と部会としての税制改正要望の勉強です。特に税制改正については、復興特別法人税の前倒し廃止や企業に賃上げを促す「所得拡大促進税制」の拡充を追加要望として掲げた他、投資促進やベンチャー支援、事業再編促進のための税制についての論点整理を行いました。

午後12時45分からは、「経済産業部会・自動車産業小委員会」に切り替え、逢沢一郎小委員長より、ご挨拶を頂きました。自動車関係団体の皆様から、特に来春の消費税引き上げを決定する際には、駆け込み需要や需要の急減を避けるため、自動車を取得する際の負担軽減の方針を打ち出してほしいとのご要望を頂きました。出席された先生方からも、賛同の意見が多く出されました。最後に逢沢小委員長より、消費税率引き上げ時の負担軽減策実施を求めていくことを決定いだたきました。


午後1時半からは、「税制調査会 正副会長顧問幹事会」に経済産業部会長として出席し、正午からの経済産業部会で了承を得た復興特別法人税の前倒し廃止や、企業に賃上げを促す「所得拡大促進税制」の拡充について、要望をさせて頂きました。今後、さらに検討を進めて頂くこととなりました。


午後2時半からは、「税制調査会 小委員会」に出席し、経済産業部会長として、投資減税、研究開発税制、ベンチャー支援税制、事業再編支援税制などについて具体的な制度設計の案をお示しした他、復興特別法人税の前倒し廃止や、企業に賃上げを促す「所得拡大促進税制」の拡充について、正副会長顧問会議でご説明した内容を報告しました。

アベノミクスの成長戦略実現のためにも、これらの税制の実現を求めていきたいと考えています。


午後4時からは、私が事務局長を務める「農山漁村計画法制に関する特命委員会」について、農林水産省と自民党政務調査会の皆様と、これまでの検討状況を踏まえた論点整理や今後の運営などについて意見交換をしました。農山漁村の活性化につながるスキームの実現に向けて、さらに勉強を重ねてまいります。


(経済産業部会長として、部会の開会の挨拶をしているところです。多くのマスコミの皆さんが取材にこられました。)


(「税制調査会 正副会長顧問幹事会」において、追加要望事項について説明を申し上げました。)


(「税制調査会小委員会」では、投資減税や研究開発減税など、それぞれの税制の優遇の水準等について要望をしました。)


(「農山漁村計画法制に関する特命委員会」の論点整理などを行いました。)

台風18号で被災された阿智村を訪問しました

2013年9月22日 日曜日

9月22日は、午前中に先般の台風18号による豪雨で被災された阿智村を訪問しました。

まず、午前10時に阿智村役場に伺い、岡庭村長、議会議員の皆様、役場の担当者の皆様から状況の説明を受けました。

被害は、村道80か所、農地150か所、農道10か所、農業用水40か所、林道20か所、河川40か所に上るとのことでした。


次に、車に分乗して、阿智村伍和(ごか)の仏供田橋付近を視察しました。ここでは、被災地の少し上流にある2つの沢が合流する地点から土石流があふれ、「タケダ化工」さんの工場に大量の土砂が流れ込むとともに、道路が濁流によって削られて駐車場にあった車の内6台が流されたそうです。

当時、会社の中にいた方々は、作業台などを積み上げて工場の中で救助を待ち、レスキュー隊の皆様に救助されたとのことでした。周囲には大量の巨石と流木があり、土石流の勢いの凄さを感じました。

また、道路の下に埋設されていた水道管も破断したため、約4日間かけて、細い管を束ねて仮復旧をおこなったとのことでした。


次に、阿智村浪合の中の瀬住宅付近を視察しました。浪合地区は、今回の台風18号での豪雨において、飯田下伊那地域では最大の連続雨量293mm、時間最大73mmの降雨を記録した地区です。

ここでも、河川に架かる橋に石と流木が押し寄せ、現在でも橋の上流は流木が山のようにつみあがっています。浪合地区では、2棟が床上浸水をしたとのことでした。

被災された皆様に、心からお見舞いを申し上げます。また、お忙しい中、視察にご同行を頂き、ご説明を頂きました皆様に、感謝を申し上げます。今後、関係機関の皆様と連携し、一刻も早い復旧に向けて、努力してまいります。


(阿智村役場で被災の状況について説明をお聞きしているところです。)


(右下の黄色で表示されたところが大きな被災を受けた2か所です。)


(右上の建物が「タケダ化工」の建物、本来の川の流れは写真の左側ですが、工場と右側の道に土石流が流れ込み、駐車場を大きくえぐっていったそうです。)


(工場の中は、腰の高さぐらいまで、土砂で埋まっていました。人的被害が無かったのは幸運だったと思うような状況です。)


(土石流があふれた、川の上流の合流地点も視察しました。ここは、昭和32年の水害でも被害があったそうです。抜本的な安全対策が必要であると感じました。)


(これが、水道の仮復旧に使われている管です。)


(付近には、小型重機では動かせないほど大きな石が大量に流れ着いていました。)


(2か所目に視察した浪合地区の現場です。橋に大量の流木が押し寄せ、ダムのようになっています。)


(この流れの下流にはお寺がありましたが、幸いにも濁流が蛇行して直撃を免れたとのお話でした。)