2023年8月 のアーカイブ

消費者問題等調査イタリア第1日目

2023年8月4日 金曜日

8月4日は、フランスでの日程を終え、イタリアでの調査を行うため、午前中の飛行機でローマに向かいました。

お昼には、FAO本部のレストランで食事をとりながら、大使館の皆様からブリーフィングを受けました。

午後2時前からは、FAOとWHOによって設立されたコーデックス委員会のハイランド事務局長とテクニカルオフィサーのハッファーさんと懇談をしました。

コーデックス委員会は、食品安全や、製造方法、食品表示のガイドラインなどをつくる組織です。これを踏まえ、私からは、処理水放出に関し、IAEAだけでなく、コーデックス委員会としても安全性に関する発信をしてほしいとの要請をしました。

さらに、発がん性があるPAHsの含有を理由に、EUが日本からの鰹節の輸入を禁止している一方で、EU域内で製造されている鰹節については規制がない状態は科学的におかしいこと、ハムやソーセージ、スモークサーモンにもPAHsは含まれているが、通常の食べ方では鰹節の摂取量が少ないことを踏まえると、むしろリスクは少ないことを述べ、科学的な検証と基準作りを要請しました。その結果、今後、日本の消費者庁とコーデックス委員会で連絡を取りながら、検証していくこととなりました。

午後5時からは、環境・エネルギー安全保障省を訪問し、グランディ循環経済部長、EU担当のコラーディさんにお会いしました。

グランディ部長からは、イタリアにおける食品ロス削減の取り組みや制度についてご説明を頂き、特に2016年に施行された「社会的連帯と廃棄物の制限を目的とした食品及び医薬品の寄附と配布に関する規定(通称Gadda法)」の内容について質疑を行いました。

また、これに先立ち、イタリアでは2003年に食品の寄附に関し、重過失がなければ責任を問われない制度として「社会的連帯のための食料分配に関する規定(いわゆる「善きサマリア人の寄附法」)」が施行されています。

我が国においても、食品ロス削減のための寄附の促進のための体制づくりがさらに重要であることを感じました。

夜には、大使公邸で、現地情勢についてのブリーフィングを受けながら、夕食を頂きました。現在のイタリアの政権が抱える課題などについて、大局的に理解をすることができました。


FAO本部に到着時に、鈴木哲特命全権大使が迎えてくださいました。


中央がゴーデックス委員会のトム・ハイランド事務局長、その左がテクニカルオフィサーのハッファーさんです。


冒頭に、稲田朋美委員長から、訪問の趣旨などについてご挨拶がありました。


環境・エネルギー安全保障省での意見交換の様子です。


稲田朋美委員長の左がグランディ循環経済部長、右がEU担当のコラーディさんです。


イタリア大使公邸での記念写真です。

消費者問題等調査フランス第3日目

2023年8月3日 木曜日

8月3日は、フランスでの消費者問題等調査の3日目。

午前中に、フランス共和国農業・食料主権省を訪問し、モード・フェブ食品総局長をはじめとする皆様と意見交換を行いました。

食品ロス削減に関するこれまでの経緯や、具体的取組、食料主権の考え方などについてお話を伺うとともに、質疑を通じて、日本の食品ロスの方がフランスより小さいこと、豊作で需要以上の農産物が取れた際に食糧支援団体につなぐ団体が活動していることなど、新たな実態についても知ることができました。

昼には、商工会に所属する邦人企業の皆様との懇談会が行われ、株式会社虎屋の市原淳子取締役、東レ株式会社複合材料本部欧州統括の太田賢二郎さん、日本航空パリ支店の西澤宏章支店長と懇談をしました。

皆様からは、フランス国内の日本人旅行客はビジネス客か欧州在住の日本人に限られている現状であること、欧州に比べて日本の賃金と商品やサービスの価格設定が低すぎる点が問題であること、自動車分野での環境対応の現状など、様々なお話を伺うことができました。

午後には、フランス最大のフードバンク団体である「バンク・アリマンテール」を訪問し、食品資源部門責任者のイェスィム・ブロエさんをはじめとする皆様からお話を伺いました。

バンク・アリマンテールは、各エリアごとに設けられた79のフードバンクを通じて、約6000の協力団体に食糧を届けています。また、収集、配布、寄り添い、バランスの良い食事の提供を4つのミッションとして掲げています。

財源は、国や地方からの支援、民間企業からの寄付、一般人からの募金、6000の団体からの会費の支払いから得ているとのこと。さらに、寄付優遇税制による支援も行われています。

足元では、貧困層の拡大もあり、その役割はますます重要になってきているそうです。


フランス共和国農業・食料主権省での意見交換会の様子です。


フランス共和国農業・食料主権省の皆さんとの記念写真です。稲田朋美委員長の左がモード・フェブ食品総局長です。


邦人企業の皆様との懇談会の様子です。


右から、東レ株式会社複合材料本部欧州統括の太田賢二郎さん、私、日本航空パリ支店の西澤宏章支店長、稲田朋美先生、株式会社虎屋の市原淳子取締役、吉田統彦先生です。


バンク・アリマンテールで、食品資源部門責任者のイェスィム・ブロエさんから説明を伺っているところです。


バンク・アリマンテールの皆様との記念写真です。稲田委員長が来ているのは、ブロエさんからプレゼントされたスタッフジャケットです。

消費者問題等調査フランス第2日目

2023年8月2日 水曜日

8月2日は、フランスでの消費者問題等調査の2日目。

お昼に、味の素株式会社の柏倉正巳執行役常務からフードロス削減の取り組みを中心にお話を伺いました。

味の素の酵素をつかった技術により、おにぎりやチーズなどの食材の賞味期限を延ばす取り組みや、正確に受給管理を行うことにより、フードロス削減に取り組んでいるとのお話を伺いました。

午後には、フランスの大手マーケットチェーンで世界各地に店舗を展開しているカルフールの郊外店を視察しました。

はじめに、エグゼクティブアシスタント兼CSRプロジェクトマネージャーのニーナ・スティフさんと、フードバンク団体「Too Good To Go」のローランさんから、お話を伺いました。

カルフールでは、見た目の良くない商品に「食品ロス反対ラベル」を張ってアピールしたり、賞味期限が近い商品を3割から5割値引きして売ったり、フードバンク団体とパートナーシップ協定を結んで、売れ残り食品を寄付して、福袋をつくり、アプリで消費者とつなぐなどの取り組みにより、食品ロスの削減に取り組んでおられます。

その後、実際に店舗における取組の状況を見せていただき、説明を受けました。

夜には、日本からの食材の輸入や、和牛を中心としたレストラン経営などをされているSARL OMATSU FRANCEの下田豪さんと、社員の平川すみれさん、そば店「越前そば東郷」を経営されている松井健児さんと松井恵子さんからお話を伺いました。

下田さんは、一般社団法人長野欧州貿易支援機構と連携し、パリで長野県の物産を紹介し、貿易拡大につなげることを目的とした拠点である「パリNAGANO」設立に向けても活動いただいています。

私からは、フランスで日本の食材や食文化をフランスの皆様に広めるために努力されている皆様の取り組みをしっかり応援していくことをお誓いしました。


後列左が、お話を伺った味の素株式会社の柏倉正巳執行役常務です。


巨大なカルフールの郊外店舗です。


カルフールのニーナ・スティフさんと、オンラインで参加くださったフードバンク団体「Too Good To Go」のローランさんからお話を伺っているところです。


黄色い値引き札が張られた商品がおかれたケースです。


店長(写真右)から、値引きの手順などについて具体的なお話を伺いました。


売り場の入り口の前で記念撮影をしました。


右から、SARL OMATSU FRANCEの下田豪さんと、社員の平川すみれさん、私、そば店「越前そば東郷」を経営されている松井健児さん、稲田朋美先生、松井恵子さん、吉田統彦先生です。

消費者問題等調査フランス第1日目

2023年8月1日 火曜日

8月1日、約14時間のフライトを経て、フランスの現地時間午後4時前にパリに無事に到着しました。

夜には、在フランス日本国大使館の安藤義雄公使をはじめとする皆様からブリーフィングを受けました。

フランス政界の現状、フランスにおける食品ロス対策や食品安全行政、農業者と取引相手との適正な取引関係のためのエガリム2法、原子力事情やITER計画、家族政策の特徴、外資に関する規制などについて、学ぶことができました。

明日からは、現場を訪問したり、様々な皆様にお会いして、さらに調査を進めてまいります。


在フランス日本国大使館の安藤義雄公使から説明を頂いているところです。