宮下一郎ブログ

科学技術・イノベーション推進特別委員会でiPS、スーパーコンピュータなどを視察

2013年7月24日

7月24日は、科学技術・イノベーション推進特別委員会の委員派遣で2日間にわたる視察に出発しました。

まず、朝7時半出発の新幹線で京都に向かい、午前10時半から京都大学の「iPS細胞研究所」を訪問しました。

ノーベル生理学・医学賞を受賞された山中伸弥所長から、直接iPS細胞研究の進展状況についてご説明を頂いた後、研究所内をご案内頂きました。

最後に、質疑応答の中で、私からiPS研究を医薬品開発につなげる際の課題について質問したところ、山中先生からは、アメリカではベンチャー企業が資金調達をして研究開発を行い、成功したら大手が買い取る方式が多いが、日本でそうしたことが少ないので、リスクをとって投資や開発をする環境を整えることが必要だ、とのご示唆を頂きました。

また、「アメリカの研究開発予算は、1.NIH(アメリカ国立衛生研究所)、2.各州(地方政府)、3.民間(企業、個人)の3つの柱に支えられている。日本版NIHをつくる構想が進んでいるが、2番目と3番目の柱がほとんどないのが問題。」

「iPS研究は注目され、資金の支援も充実して頂いているが、それに続く様々な分野での研究を支援していくことが重要。」など、大変重要な指摘を頂きました。予算編成や税制改正、規制改革などの際の課題として、取り組んでいくことが重要だと思います。

また、一人のiPS細胞を培養するのに莫大な時間と資金が必要になるため、今後はHLA(細胞の血液型)約140種類に対応する「再生医療用iPS細胞ストック」をつくる計画とのお話も伺いました。多くの患者さんが再生医療の恩恵に浴することが出来るようにするために、大切な取り組みであると感じました。


次に、バスで神戸に向かい、昼食は車中でお弁当を頂きました。神戸では、まず午後1時半から、「独立行政法人理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター」を視察しました。

この研究所では、受精卵からどのようにして各器官や組織ができるのか、発生や再生のメカニズムを研究し、それをES細胞やiPS細胞を用いた試験管内再現につなげ、さらにヒトへの再生医療につなげる取組をすすめています。

具体的な事例として、プロジェクトリーダーの高橋政代先生は、加齢黄斑変性で失明する患者に、iPS細胞から作った網膜色素上皮シートを移植する、初の臨床研究に取り組んでおられます。

副センター長の笹井芳樹先生からは、iPS細胞から、立体網膜をつくる過程などについてお話を伺い、研究がここまで進んでいるのかとびっくりしました。

センター内の見学後の質疑応答では、先生方から、予算の削減が基礎科学研究の足かせになっていること、常に、次世代を見据えた基礎研究がなされないと、応用研究も実現していかないことについて、ご示唆を頂きました。


引き続き、午後3時半から「独立行政法人理化学研究所 計算科学研究機構」を訪問し、スーパーコンピュータ「京」についての説明を受けました。

「京」が、創薬や心臓の動きのシミュレーション、気象予測、地震波と津波の発生・伝播の計算、自動車風洞実験シミュレーションなど、様々な分野で活用され、成果を上げていることがよくわかりました。

今後は、2020年に「京」の100倍の計算能力のあるスーパーコンピュータを目標に、開発を進めるとのお話もお聞きしました。日本の成長戦略の基盤として、国としてもしっかりと支援していくことが重要であると考えます。


本日の視察を終え、午後4時40分発の飛行機で神戸空港から那覇空港に向かいました。

午後8時からは、夕食をとりながら、沖縄総合事務局の皆様と懇談をしました。

明日は「沖縄科学技術大学院大学」訪問とと展望台から「普天間基地」を視察する予定です。


(iPS細胞研究所で、はじめに概要説明をお聞きしました。)


(視察のあと、山中先生を囲んで、記念撮影をおこないました。)


(最後に、山中先生に御礼を申し上げ、益々のご活躍をお祈りしました。)


(発生・再生科学総合研究センター到着後に概要説明をお聞きしているところです。)


(副センター長の笹井先生から、iPS細胞による網膜組織の作成過程などの説明を受けました。)


(実際に、iPS細胞から作った眼の網膜の立体組織を見せていただきました。)


(世界初のiPS細胞を使った臨床研究をおこなう高橋政代先生から、施術の概要説明をお聞きしました。)


(計算科学研究機構到着後、エントランスホールで。全員で記念撮影を行いました。)


(初めに、平尾公彦機構長から、「京」の概要や成果についての説明をお聞きしました。)


(これが「京」です。広い室内に見渡す限り装置が置かれています。)


(ホールには、「京」の書コンクールで入賞した様々な書体の「京」の書が展示されていました。)

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