衆議院議員 / 前農林水産大臣 宮下一郎
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宮下 一郎

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衆議院経済産業委員会で福島第一原子力発電所を視察

2013年9月12日

9月12日は、衆議院経済産業委員会の福島第一原子力発電所の視察に参加しました。

朝7時に国会議事堂の衆議院玄関前を出発、バスで福島に向かいました。

午前10時に原発から20キロにあるJヴィレッジに到着、東京電力の廣瀬直己社長をはじめとする皆様から概要説明を受けて、早めの昼食を頂きました。カメラや携帯、上着などはここに置き、ワイシャツ姿で、屋外に建てられた施設で放射性物質が体内にないかをチェックするホールボディーカウンターのチェックを受けました。また、被曝線量を累計で計測する線量計も首から下げて携帯しました。

そこから東電のバスで約40分かけて福島第一原発に到着しました。初めにワイシャツの上から青い防護服や靴カバー、手袋、ヘアキャップ、簡易マスクなどをつけ、重要免震棟へ。

ここで改めてパンツ以外すべて脱ぎ、上下の下着、一枚目の靴下、網のベストの前後のポケットに体を冷やすための冷却材を入れたものを装着、白い防護服を着て、2枚目の靴下、綿の手袋、ゴム手袋をしてテーピング、さらに2枚目のゴム手袋を装着しました。ヘアーキャップをして、いよいよ本格的なマスクを装着、すでに息苦しさを感じました。最後にヘルメットと靴を履いて装備完了。何もしないでも汗が流れます。

重要免震棟を出てバスに乗り、バスの中から「アルプス」と呼ばれている多核種除去設備の建物、以前汚染水をためていた「地下貯水槽」を見た後、バスを降りて今回汚染水漏れを起こした「貯留タンク」を視察しました。また、近くにある「地下水バイパス揚水井」の施設を見ました。

再びバスに乗り、燃料プールから核燃料を取り出すための新しい建造物が出来上がった「4号機原子炉建屋」を見た後、「海側地下水汚染対策現場」でバスを降り、説明を受けました。ここでは、汚染された地下水が海に流れ込むのを防ぐため、「水ガラス」と呼ばれるものを約80センチ間隔で地盤に注入し、水の透過を大幅に減らす工事が行われています。さらに、建設途中の「海側遮水壁」も見ることができました。

再び、バスに乗り、使用済み核燃料を保管する「乾式キャスク」と呼ばれる施設などを見ながら重要免震棟に戻り、防護装備をはずしました。実際に現場で作業される方は、約1時間作業をした後、30分程度休憩をとり、再び作業をされるそうですが、何もしないでも息苦しく、汗が流れる状況で作業されている皆さんのご苦労を改めて感じました。

また、現場の視察を通じて、現場が「貯留タンク」などがある海抜35メートルのエリアと、原発本体がある海抜10メートルのエリア、港近くの海抜4メートルのエリアと、階段状になっていることが理解できました。

重要免震棟で装備をはずした後、免震棟内の本部の部屋で働いている皆様に対し、経済産業委員会の富田委員長から、本日の感想を含めた激励のご挨拶がありました。私も、厳しい環境下で日々頑張っている皆様に、敬意と感謝の念を感じました。

その後、バスでJビレッジに向かいました。約40分の移動中、委員メンバーからの質問に対し、廣瀬社長と、福島第一安定化センターの高橋毅所長から回答を頂きました。私からは、凍土方式が選ばれた理由などについて数点質問をさせて頂きました。高橋所長からは、他の遮水の方式では、工事途中の地下水の流れのコントロールが難しいことから、比較すると凍土方式が望ましいと考えているとの回答を頂きました。

Jビレッジでホールボディーカウンターのチェックを受けた後、上着や荷物を持ち、東京電力の皆様と別れました。廣瀬社長はじめ皆様にはご同行を頂き、真摯な対応を頂きました。


その後、約40分かけてバスで移動し、午後4時半過ぎに「福島県漁業協同組合連合会」の建物に到着、野崎哲組合長をはじめとする役員の皆様との意見交換会に出席しました。

皆様からは、9月5日に試験操業を行う予定だったが、7月22日に汚染水の流出が確認されたことにより、操業が中止になってしまっていること、5月時点では、原子炉建屋の山側の井戸から地下水を抜き、海に流す「地下水バイパス」について理解をしていたが、タンクからの汚染水漏れで地下水自体の汚染という事態になっていることなどについてお話を伺いました。

特に、野崎組合長からは、今後、国が主導的に抜本対策を早く実現すること、さらに海洋モニタリングのデータをきちんと認証し、正しい情報を正しく公開すること、捕った魚の放射線検査ができる体制の整備をすること、関係者と連携をしながら取り組んでいくことなどについて、貴重な提言を頂きました。批判や不満を述べるのではなく、問題解決に前向きに取り組む野崎組合長の姿勢に感銘を受けました。国も、しっかりとサポートをしていかなければならないと、強く感じました。

懇談の後、富田委員長、塩谷筆頭理事、近藤理事に対する報道各社の皆様からの取材がありました。特に富田委員長からは、今日の視察の現状を踏まえて、委員会の開催を考えているとのご発言がありました。

その後バスで国会に向かいました。途中、事故渋滞もあり、到着は午後9時半過ぎになりました。福島第一原発の現場をこの目で確認し、そこで働く方々、さらに、ご苦労をされている漁業関係者の皆様にお会いすることができたことはとても貴重な体験でした。本日の視察で得たことを生かし、経済産業部会長としても、福島第一原発事故にしっかり対応していきたいと思います。


(朝7時にこのバスで国会議事堂から現地に向かいました。)


(10時20分ごろにJビレッジに到着しました。)


(はじめに東京電力の廣瀬直己社長(中央)からご挨拶がありました。左は原子力立地本部福島第一安定化センターの高橋所長です。)


(衆議院経済産業委員会の富田茂之委員長からは、視察の趣旨の説明を含めたご挨拶がありました。)


(Jビレッジの駐車場には多くの車が止まっていました。改めて多くの皆さんが事故対応に関わっていることを感じました。)


(本格的装備を装着したところです。左から、塩谷立筆頭理事、鈴木淳司理事、私です。)


(汚染水漏れを起こしたタンクの状況について視察しました。)


(こうして説明を聞いているだけでも、汗が流れ、息苦しさを感じます。厳しい現場であることを実感しました。)


(現場の視察を終え、重要免震棟の中の本部で、富田委員長が激励のご挨拶をされました。)


(福島県漁業協同組合との意見交換会での野崎会長からのご挨拶です。)


(私からも質問を行い、漁業者の皆様の声をしっかりと受け止めました。)


(多くの報道関係者の皆様からインタビューを受ける富田委員長(中央)、塩谷筆頭理事(右)、近藤理事(左)です。)


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  • 宮下 一郎(みやした いちろう)
    昭和33年8月1日生まれ。妻、長女、長男との4人家族。
    趣味は手品(子どもの頃からの趣味でレパートリーは百数十種類に及ぶ)
    写真撮影 (家族写真、特に子どもの写真を多く撮影)
    映画鑑賞(高校時代には映画制作に熱中。黒澤明監督作品のファン)
    座右の銘は 「誠実」「着眼大局 着手小局 (Think globally, Act locally)」

  • 略 歴

    昭和58年東京大学経済学部卒 住友銀行入行
    平成3~8年大臣秘書官(防衛庁、環境庁、厚生省)
    平成15年衆院議員初当選
    平成19年財務大臣政務官
    平成24年自民党経済産業部会長
    平成26年財務副大臣
    平成28年衆議院財務金融委員長
    令和元年内閣府副大臣
    令和2年自民党農林部会長
    令和5年農林水産大臣
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