8月6日は、イタリアでの調査の第3日目でした。
お昼過ぎに、在バチカン日本国大使館を訪問し、千葉明特命全権大使から「食品ロス及び食品安全に関する教皇庁の取り組み」と題したお話などを伺いました。
お話を通じて、教皇が設置した総合人間開発省の長官が2021年のFAO主催の会合で、コロナ収束後に全人類の食料安全を保障するために食料システムをグローバルに見直す必要性を訴えたこと、世界最大の支援組織であるカトリック教会の国際カリタス(総裁は菊池・東京大司教)が食糧安全に関する問題に対応していること、環境問題及び貧困問題に関する教皇文章において、食品ロスの問題の重要性が強調されていること、寄付は信仰の実践そのものであることなどを学びました。
さらに、正定事件(1937年に中華民国河北省定正県のカトリック宣教会の外国人宣教師ら9人のヨーロッパ人が、謎の武装勢力に拉致され殺害された事件)について、犯人も動機も不明なまま捜査が終了しているにも関わらず、事件被害者スフラーフェン司教の出身国オランダ、中国などで「200人の婦女子を慰安婦徴用した日本軍に対し、宣教師らが抵抗したため殺害された」という事実と異なる日本軍による犯行説が流布され、さらにオランダの司教区などの申請により、被害者を福者に列する「列福審査」の開始が決定された問題に関し、現状のご報告と、今後の対応についてお話を伺いました。
この問題は、以前から稲田朋美先生が取り組まれているものです。宗教上の観点から、列福審査が行われることは当然のことですが、「日本軍による犯行」との誤った事実認定が行われることはあってはなりません。大使には、多くの皆様に理解を頂けるよう、一層のお力添えをお願いしました。
午後4時からは、高級食材を中心に扱う大規模スーパーの「EATALY」を訪問し、店長のマッテオ・ニケッティさんから店内を案内いただきながらお話を伺いました。
ベーカリーでは、有機栽培の小麦のみを使用し、売れ残った場合には焼き直して料理の飾りとしてつかったり、フードバンクに寄付したりしているとのこと。
また、「生産者の広場」というコーナーでは、地元の生産者によるキノコ製品、パン、グルテンフリー製品などを扱っているそうです。
また、近隣の農家による有機農産物を「0キロメートルの有機栽培」のコーナーで販売されているとのこと。
また、50キロ離れた牧場から水牛の乳を毎朝運んでもらい、店内でモッツェレラチーズをつくっているとのことで、実際に水牛を育てている農家の方にお話を伺うとともに、おいしいチーズを試食させていただきました。
水産物コーナーでは、イタリア半島の西側の海域でとれた魚に、表示を行い、地元産のものとして付加価値をつけて販売されているとのことでした。
最上階には立派な料理教室があり、週に5日から6日教室が開かれ、原材料の季節に合わせた選び方や調理法が学べるそうです。
最後に、1階のコーヒーショップで様々なお話を伺いました。
食品ロスに関連しては、パン、パスタ、お米、ビスケットなどの寄附を3から5か所に行っていること、仕入れ専門家とセールス部門が連携して、できるだけ売れ残りをなくし、廃棄量を減らす努力をしていること、ワインに関し、フランスは約10種の原産種についてゾーニングをしてブランドを高めて高級ワインの生産に努力してきたが、イタリアは100種類のワインを自ら消費するために各地で生産を行ってきた歴史があることなどについて知ることができました。
地域の食材を大切に、価値を高め、環境にも配慮した仕入れと販売を心掛けている点で素晴らしい取り組みだと感じました。
在バチカン日本国大使館で千葉明特命全権大使からお話を伺っているところです。
千葉明大使を囲んで記念撮影を行いました。
大型スーパー「EATALY」で、店長のマッテオ・ニケッティさんからお話を伺っているところです。
地元のキノコ製品などがならぶ「生産者の広場」のコーナーです。
水牛の放牧をされている農家の方から直接お話を伺いました。230ヘクタールの牧場で700頭の水牛を飼育されているそうです。
水牛の乳から作られたおいしいモッツェレラチーズを試食させていただきました。
地元産の小麦を中心とした材料で作られるビールの醸造施設もありました。
水産物販売コーナーに掲げられた、イタリアの近海でとれた魚であることを示す「FAO37.1.3」という表示についての説明パネルです。
最上階には、立派な料理教室がありました。
最後に、コーヒーショップでの懇談で、私から質問をしているところです。
視察終了時に、お店の前で、店長さんを囲んで記念撮影を行いました。