旅の第2日目(1/30)には、長野精機さんをお訪ねしました。
はじめに、唐沢社長から、会社の概要などについて説明を受けました。
長野精機さんは、2000年11月に設立され、今年で10年目となります。デジカメや、液晶プロジェクター内部のプラスチック部品を射出成型する業務を中心にされています。
工場は、「来了(らいりょう)加工」という位置づけで、主に香港から材料を免税で輸入し、加工後に第三国に免税で輸出しています。一方、国内向けには、製品の販売はできません。
しかしながら、近年は、外国向けの輸出が減少し、中国国内需要が増加しているため、国内販売が可能な「増値工場」(増値税=付加価値税を払って、国内販売を行う工場)として「信州精密」という新たな会社と工場を隣接する土地に設立し、活動を始めたそうです。
説明のあと、自由討議の時間となりました。以下、その抜粋です。
●現在の日本企業の差別化は、「かゆいところに手が届く」という部分。
●測定機なども日本企業の方が先進的なものを導入してきたが、現在では中国企業の資本力が大きくなり、その差がなくなってきている。
●これから伸びるのはメッキの分野。各地にメッキ工場団地がつくられ、廃水処理は一括して自治体が行っている。
●日本企業同士も、昔は情報交換会を開くなど、助け合う部分があったが、今は皆、ライバルとなっている。
●広東省では、人の流入が少なく、すでに人手不足の状態。
●社員は、給料の良い会社があると、簡単に会社を辞めて移ってしまう。
●中国の市場の大きさは魅力的だが、部品メーカーが部品だけをつくっていると、苦しい。最終製品に近いものを作る努力が必要。
●ベトナムへの進出の動きもあるが、2000年ごろに中国の1/3であった賃金は、すでに70%ぐらいまで上昇している。
●ベトナムでは、男性の労働力不足のため、カンボジアから人を入れようとしている。
●中国の環境問題への取り組みは、以前に比べ、進んできている。今年の夏からは、広州とシンセンでは、ゴミの分別がはじまる。これは、ゴミ処理やリサイクルの体制が整ってきた証拠。
●中国企業5社がインドで家電の生産をはじめるなど、インドもマーケットとして重視してきている。中国企業から見ると、インドのインフラ整備の遅れは気にならない。
●これから日本は、家電製品などのパイロット市場として機能するかもしれない。(日本の顧客が選ぶ商品は世界で売れるという意味で)
また、唐沢社長が、2年後ぐらいには、シンセンよりもコスト競争力のある地域に移るかもしれない、と話されていたのが印象的でした。常に、アンテナを高くして動かなければ、生き残れないという緊張感を感じました。
(工場事務所の入り口で記念撮影)
(プロジェクターランプ周辺部品のバリ取り作業をされているところ)
(会社訪問の後、シンセン最大の電気街を案内していただきました。秋葉原のジャンクショップが大規模化したような感じです。)
(多くの店では、既存の電気製品を分解して取り出した中古の部品をショーケースの中にいれて売っていました。工場で緊急に必要な部品や工具もほとんどのものがここでそろうそうです。)
(バスの車窓からの風景です。シンセンには大量の重機が集められてきています。またまだ建設需要があるということですね。)
(シンセンは、観光事業にも力をいれており、いくつもテーマパークがあります。時間がなかったので、中国民族文化村の中をカートで20分で一回りしました。万里の長城のミニチュアの前で記念撮影。この後、船でマカオに移動しました。)