7月15日、平和安全法制が衆院平和安全法制特別委員会で可決されました。
この法案に関し、徴兵制導入につながるのではないかとの議論があります。何人かの皆様から、質問を頂きましたので、党としての見解も含め、まとめてみたいと思います。
結論から言えば、徴兵制導入はありえません。
なぜなら、第一に、憲法が徴兵制のような苦役を禁止しているからです。
自民党が5月に発表した切れ目のない「平和安全法制」に関するQ&Aでは、「問10 将来、徴兵制が採用され、子供や若者が戦場に駆り出されるのではないですか?」に対する答えとして、「全くありえません。憲法18条は「何人も(中略)その意に反する苦役に服させられない」と定めており、徴兵制ができない根拠になっています。自衛隊は「志願制」であり、徴兵制が採用されるようなことはありません。」と明記されています。
安倍首相ご自身も、13日に自民党のインターネット番組に出演し、今国会で審議中の安全保障関連法案への「徴兵制につながる」との批判について、「典型的な無責任なレッテル貼りだ。徴兵制は明確に憲法違反で、憲法解釈で変える余地はない」と強調したと報道されています。
(http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150713-OYT1T50090.html)
第二に、「徴兵制」を導入する合理的な理由がないからです。
安倍総理は、「徴兵制を導入する合理的な理由はない」と重ねて否定した。首相は「防衛装備のハイテク化」を挙げ、「兵士として役に立つためには相当時間がかかる。(徴兵制では)教育が終わったら辞めてしまう。自衛隊にとって負担にしかならない」と説明されています。
(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150713-00000154-jij-pol)
また、「戦争法案が成立し、実際に自衛隊員の中から死傷者が出れば、任官拒否だけでなく、入隊希望者も激減するので、徴兵制が必要となる。」という主張がありますが、平和安全法制は、戦争法案ではなく、現在のわが国と自衛隊が直面しているリスクを低減するためのものであり、本法案と徴兵制を結び付けるのは、論理的に無理があります。
現在の自衛官は、自ら志願し、服務の宣誓を行い、厳しい訓練に耐え、専門技術を磨き、国民を守るための任務に従事しています。
下記が服務の宣誓です。
「私は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に德操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもって専心職務の遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身を持って責務の完遂に務め、もって国民の付託にこたえることを誓います。」
これに対し、「徴兵制」によって意に反して強制的に集められた人には、厳しい訓練は耐え難いものであり、こうした人たちでは、決して「強い組織」をつくることは出来ないでしょう。
世界各国でも徴兵制は減少傾向にあり、例えばG7(日、米、英、仏、独、伊、加)のどの国も、現在「徴兵制」をとっていません。
以上の理由から、「徴兵制」の導入はありえないのです。
(平和安全法制に関するQ&Aの表紙です。クリックでPDFファイルをご覧いただけます。)