7月8日は、午前9時にホテルを出発し、午前10時にシュレッター社を訪問しました。
当社は、1983年に金属加工会社として創業、様々な分野の製品を製造していましたが、2001年に太陽光発電パネルの支持台システムの発売を開始、2005年に海外進出を開始し、以来10年間で社員も売り上げも20倍になり、現在は従業員1200名、売上3億ユーロのトップ企業となっています。
太陽光発電架台の他に、電気自動車用充電ステーション、鉄道車両内装なども手がけています。
競争力の秘訣は、製造工程の徹底的な効率化と、支持の部品を臨機応変に組み合わせることができるシステムの特許、部品精度の高さに対する高い評価などによるものだそうです。
海外展開については、商工会議所のミッションでの海外へのセールスやメッセ出店に対する支援が役立ったとのこと。
社員の教育にも力を入れており、経営者と社員が家族のような信頼感で結ばれていることも会社の成長を支えているのではないかと感じました。
昼食の後、午後2時半には、マックス・ランク・イノベーションを訪問しました。
この会社は、国と州が50%づつを支出して基礎研究を専門に行うマックス・プランク協会の100%子会社であり、協会傘下の研究所で得られた成果の特許取得や産業界への技術移転、スピンオフによる起業の支援などを業務としています。
具体的な実績として、1979年以降に2000のライセンス・アグリーメントを締結、1990年以降に108の起業があったそうです。
協会における研究体制は283部門に分かれており、それぞれのディレクター(責任者)の60%は、外国人だそうです。2年に1度、過去の研究成果の外部評価を受け、5年に1度は研究の将来性についての外部評価を受けるとのこと。そうした適正なガバナンスが機能しているのだと思います。
また、応用研究を中心としているフラウン・ホーファー協会と共同プロジェクトを組むこともあるそうです。研究開発体制の厚みを感じました。
午後4時にはBMWの本社を訪問しました。
始めに、ゼグラー上級副社長からBMWの概要についてご説明を頂きました。様々な規制強化のスピードが開発のスピードを上回ることも多く、規制をクリアするために車は重くなる傾向にあること、炭素繊維などにより車の軽量化に取り組んでおり、この分野では大学の研究よりも進んでいることなどのお話が印象的でした。
また、皆が大学に行くようになり、現場と経営者をつなぐ中間管理職が不足しているとの指摘もありました。
その後、約1時間かけて工場内をご案内頂き、製造工程を見学しました。様々な車種に対応した車体の溶接や塗装など、多くの工程でロボットによる徹底した自動化が図られているのに感銘を受けました。複雑な組み付け作業は人が作業しており、みな誇りをもって働いているとのことでした。
改めてBMWの強さと魅力を感じた見学でした。
午後7時からは、日本食レストランで夕食をとりながら、日独産業協力推進委員会のゲアハルト・ヴィースホイ理事長からのヒアリングと意見交換が行われました。
ドイツにおける中小企業は370万社、大企業は2万社あること、中小企業は売上で36%、雇用者数で1500万人、全体の60%を占めること、成功している中小企業がドイツ国内に広く分布していること、中小企業は地域の貯蓄銀行から資金調達を行い、都市ごとに存在する貯蓄銀行のホールディングカンパニーからのチェックを受けること、政府の「中小企業イノベーションプログラム」による支援が容易に受けられること、このプログラムの成功率は約70%であること、中小企業の95%が同族企業であり、長期的な視点に立って、経営にあたると同時に革新的で国際的でもあること、などについて具体的なデータに基づくお話を頂きました。
また、今後はドイツ企業と日本企業が合弁や提携によって、お互いを補完する可能性が大きく広がっているとの指摘も頂きました。
さらに、ドイツの今日の発展は、法人税の引き下げなどを大胆に行ったシュレーダー改革が基礎になっていることも伺いました。今後、その改革の全体像について学ぶことが重要であることを感じました。
様々な面で、大変示唆に富むお話を聞くことが出来、大変有意義な夕食を懇談会でした。
( シュレッター社のルートヴィッヒ・シュレッター社長を囲んで記念撮影。 )
( シュレッターの太陽光発電架台システムです。パーツの組み合わせで様々な場所への設置が可能です。 )
( 最終製品の出荷用仕分けスペースです。多様な製品があることが一望できます。 )
( 電動スクーターの充電ステーションの展示もありました。 )
( シュレッター社のまわりは、広々とした田園風景が広がっています。 )
( マックス・プランク・イノベーションのエルゼリウス社長からお話を伺っているところです。 )
( 懇談の後の記念写真です。 )
( BMW本社で、概要説明をお聞きしているところです。 )
( ゼグラー上級副社長を囲んでの記念写真です。 )
( 部屋の窓からは広い工場の敷地が一望出来ました。 )
( ヴィースホイ理事長から食事の前にお話を伺いました。 )
( 夕食懇談会の後の記念写真です。ヴィースホイ理事長には、貴重なお話をお聞かせ頂き、本当にありがとうございました。 )